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2007年6月 アーカイブ

2007年6月12日

好奇心を持ち続けることの大切さ

先日、ノーベル物理学賞学者の江崎玲於奈博士の講演を聴く機会に恵まれた。

ノーベル賞受賞者のお話を伺うのは野依博士についで2回目である。今回も非常に示唆に富んだ講演で、2つほど強烈に印象に残ったお話があった。


一つ目は、創造力(Creative Mind)と分別力(Judicious Mind)の話だ。
江崎氏によると、創造力は20歳をピークに下降する。一方、年齢を重ねるとともに、分別力は上がって行く。結果、45歳で創造力と分別力が同レベルになり、その後は分別力が創造力を凌駕するようになるのだ。

そうなってしまうと文字通り「分別くさく」なり、新しい発見や発明を起こせなくなるのだそうだ。アインシュタインが物理学の世界でいくつかの偉大な発見をしたのは26歳のとき、江崎氏がトンネル効果を発見したのが32歳のとき。彼曰く、「それ以降はたいした仕事はしていない」。
あと3年で45歳になってしまう私には大変危機感をあおられる話であった。

では、どうすれば創造力を失わずにいられるのか?一番重要なのは、「自分自身を自力で磨き続けること」=Self Teachであり、「教えてもらうのを待つ」=Being Taughtでは決していけない、ということ。自分自身を自力で磨き続けることで、人間は自己の潜在能力を最大限発揮するのだ=Push Human Faculty to the Limit、というお話であった。

二つ目は、「ノーベル賞を取るためにやってはいけない5か条」の話だった。新しいことを興す、偉大な発明、発見をするために気をつけるべきことは以下の5つとの事。

#1:過去の経験に頼らない
#2:オーソリティの話を鵜呑みにするな
#3:不必要な情報の収集、分析にエネルギーを浪費するな
#4:Confrontationを恐れるな(=対立を恐れ、妥協するな)
#5:子供の頃の好奇心を忘れるな

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そう、結局は、いつまでも子供のような好奇心を持ち続け、子供のようなエネルギーを持って常に探求し続けること。これが創造力をみずみずしく保ち、世の中に新しい価値をもたらしつづける源泉となるのだ。

「Creativeになれ!」といわれるとどうやればよいかわからないが、「好奇心を持ち続け、馬鹿なことをして、他人を質問攻めにすることを恐れるな!」であれば誰でも出来るはず。

ちょっとした勇気と、大きな確信を得ることが出来た夜だった。江崎博士、有難うございました。

2007年6月 4日

世界で戦うために

週末、金、土と、ある「CEOカンファレンス」に参加する機会を得た。

そこで、エルピーダメモリ(http://www.elpida.com/ja/)の坂本社長のお話をうかがうことが出来た。

NECと日立の合弁で、DRAMという競争の激しい市場で生き残っていく、という非常に難しい環境下で社長に就任された後、会社を見違えるような高成長、高収益企業に磨き上げられた社長のプレゼンはシンプルだけど非常に示唆に富んだ、すばらしいものだった。

わかりやすい理念、ゴールを掲げ、それを組織に徹底していくお話は、非常に勉強になった。と、ともに、後半、「世界で戦うためにいかにインフラを創っていくか」に関してのコメントが興味を引いた。

半導体ビジネスは、いわずと知れた巨大資本投下型のビジネスとなる。そこでは、いかにROIを最大化させる投資をするかが鍵になるわけで、ベストのリターンを得るためには工場立地たる地域/国の誘致政策、税制その他さまざまな優遇策の有無が非常に重要になってくる。こうした要件をすべて勘案した結果、昨年台湾に生産のための合弁会社を立ち上げたところ、国内の各方面からさまざまな批判があったそうな。当然坂本社長は意に介していなかったようだが。

台湾に合弁を立ち上げたのは有力なパートナーがいたこともさることながら、国としての法人税率の低さ(25%)、その他減価償却の有利さ、さらには誘致補助金などのインセンティブがあったからとの事。

実は、ざっくりと法人税率だけを見ても、日本は非常に高い。米国と同じレベルの約40%である。それに比してシンガポールは20%、ドイツでさえ29%、アイルランドはなんと12.5%!アドビやロータスといった米国の大手ソフトベンダーがアイルランドに生産拠点を持っている(持っていた)のもうなずける。

坂本さんの意思決定を非難する役人たちは、「税率が高いのであれば、高付加価値型の製品を作っていけばよい」と簡単に言うのだろう。が、日本がアジア諸国の競合に比べ常に高付加価値型の製品を作り続けられる、と何を根拠で言えるのか不思議である。

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今年の前半、経済産業省主催の研究会で、「いかに日本のソフト産業をグローバルに成功させるか」という議論に参加させていただいたことがある。その中でふと感じたのは、「日本政府は税制その他の事業環境を米国と同じにすることで安心、安住してしまっており、結果的には日本産業にマイナスになっていることが多い。なぜもっとアジアの国を意識し、彼らに負けない施策を考えないのか、彼らから学ぼうとしないのか?」ということである。

もし本当に世界に通用するソフト産業を日本で興したいのなら、戦略的に言ってしまえば、米国からアンフェアといわれかねないような優遇策を提示すべきである。しかしながら現実は法人税率、ソフトウエア資産計上、減価償却の方法はすべて米国に倣ってしまう。J-SOXなどもその最たるものである。

そもそも実力、歴史ともに圧倒的に先に行っている米国に勝とうとするのに、インフラを同じにしてどうする?同じ環境であれば勝てるはずが無い。

なぜこうした「戦略的」な考えをしないのか?アジアに学ばないのか?もう一回ゼロベースで考えてほしいものである。

同時に、リアルコムも「なぜ世界を目指すのに日本に本社を置かなければならないのか?その戦略的理由は?」から見つめなおさなければならないかもしれない。本気で。

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