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2007年4月 アーカイブ

2007年4月11日

ゴールキーパー一筋30年目の気づき

◆GKの醍醐味って

二十数年ぶりに「北斗の拳」を読み直した。「お前はすでに死んでいる」のあれである。最近よくコンビニで売っている復刻版シリーズの中にケンシロウを見つけ、思わず買ってしまったものだ。

これを読んで改めて気づいた。

そうか、ゴールキーパーの醍醐味は、シューターとの究極の1対1の勝負にあるんだ、格闘技と同じなんだ、と。

もちろん、GK一人でゴールを守っているのではない。皆でシュートを打たせない、シュートコースをカットするなどして「組織」でゴールを守っている。が、基本、シュートを打つのは一人(注1)であり、それを防ぐ究極の責任者がGK、そしてそれらを「入れ、入るな」と願いながらプレーするその他の20名、という瞬間がシュートのたびに発生する、それがサッカーなのである。

(注1)例外として、キャプテン翼君と岬君が放つ「ツインシュート」があるが、GK歴30年の私でも、このようなシュートは受けたことも見たことも無い。


決定的なシュートを止めれば敵の士気は下がり、味方の士気が大きくあがる。こうした「士気の差」が勝負を決定付けることが多く、単にシュートを止める以上の影響力を持つことが出来る。それがGKの醍醐味である。まるで、村の人々の思いを背に戦うケンシロウのように。(注2)

(注2)ケンシロウとの違いは、私がどのようなすごいプレーをしても相手が「ひでぶ」とは言わないこと。

◆良いGKとは?

シュートを打たれない、仮にシュートを打たれても枠に打たせない、これが最高のGKの姿。そのためにディフェンスチームをコーチングし、コンビネーションを高めていく。

さらに、良いGKは「雰囲気」がある、とよく言われる。こうした「雰囲気」に威圧されてしまったシューターは勝手にシュートを失敗してくれるのである。そう、本当の戦いの達人は「戦わずして勝つ」のである。


次にすばらしいのがすべてのシュートを正面で、軽々と取るGKである。そのためには組織としての守りに加え、絶妙のポジショニングセンスが必要となってくる。一流の格闘家は、派手にどたばたしてはいけないのである(注3)。

(注3)「スローハンド」といわれるエリック・クラプトンの指捌きを参考にすべし。当然彼は格闘家ではないが。

ただ、ゲームを行っている限りはシュートは必ず枠に飛んでくるし、すべてを正面でとめることはできない。そこで、そうしたシュートをいかにセーブしていくか、これで勝負が決まる。「決まった!」と見えるシュートをしぶく華麗にセーブする(敵の必殺技をあっさりかわす)技を磨くこと、こうしたプレーが良いGKには不可欠である。


◆スーパーセーブの鍵は「敵との同期」である

よく格闘技で「先の先」「後の先」というのがある。守備のスペシャリストであるGKのプレーにもこれは当てはまる。「先の先」とは、敵がシュート体制に入る前にボールを奪ってしまうことである。スルーパスで抜け出だFWの足元に飛び込む、クロスボールを前に出て先に奪う、などがそれである。

「後の先」とは、わざと隙を見せ、相手のシュートを誘導してボールを奪うことである。これは特に1対1の場面でよく使われる。


こうした「先の先」「後の先」は当然のこととして、更なる高みが「同期」である。


本来取れるはずの無いシュートを見透かしたように止める、逆を突いたつもりがまったく振り切られない、こうしたプレーを可能ならしめるのは、「シューターとの同期」である。

どのレベルのシューターでも、シュートの際には必ず自分のシュートをイメージしている。右なのか、左なのか、強いキックか、コントロールされたキックか、、、などなど。

シュートの際に相手の頭の中にあるイメージと同じイメージを持ち、それを止めるイメージを持てたときにスーパーセーブが生まれる。

なんか、超能力、というか精神世界に入っているようだが、本当である。こうした「イメージの同期」を、コンマ何秒の一瞬でやるのである。(注4)


注4:格闘家の中でこれを最も得意としているのが矢吹ジョー。そう、スーパーセーブはかの「クロスカウンター」と同じ原理なのである。


そんなことできるのか?

出来る。


そのためには、

・プレーの中で出来る限りシューターのくせ、得意技を頭にインプットする。
・シューターが好きなプレー、理想とするゴールのイメージを想像する。
・シュート体制に入るまでの過程を出来る限りインプットする=どのようにゴール前に走ってきたのか、どういう体制でボールを受けた/受けようとしているか、など
・相手の動きのリズムと自分のリズムを合わせる(本当に出来るなら、呼吸も合わせるのが良いかもしれないが、私はそこまでは出来ていない)。

なんてことが必要。こうしたことを可能にするためには、経験に加え、大変な集中力とイマジネーション力が必要。こういうことをしているから、GKは走る距離は短くても試合が終わるとぐったり動けなくなるほどエネルギーを使うのである。

今年もわがサッカーチーム、手弁当’s(「ユベントス」→「テベントス」→「テベントウズ」が語源)のシーズンが始まった。先日はなかなかのプレーが出来た気がするが負けてしまったので意味なし。次回はきっちり勝利に貢献するプレーをしたいな。

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