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加藤和之

加藤 和之
(かとう かずゆき)

慶應義塾大学法学部法律学科卒業
NTTコミュニケーションズにて、金融業界向けソリューションセールス・新規事業開発に従事。リアルコムでは、金融、製薬、石油業界等幅広い業界の大手企業にコンサルティングを実施。主にナレッジマネジメントによる現場の業務改革に精通。

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組織を越えたノウハウ共有による技術課題の解決

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ビジネスコンサルティンググループ
加藤 和之

 石油・天然ガスの探鉱・開発事業は、資源の発見に至るまでの探鉱には、巨額の投資と長い期間が必要となり、生産や輸送体制の構築にも多額の投資が求められる。
本事例では、"組織横断型の情報・ナレッジ共有の場"により技術的なノウハウや各プロジェクトでの成功・失敗事例を拠点を越えて共有し、経営課題の解決にあたっている石油資源開発の取り組みについて紹介する。



 日本は世界有数のエネルギー資源の消費大国である。しかしながら、現状のエネルギーの自給率は4%に過ぎず、大部分を諸外国からの輸入に頼っている状況である。

 メジャーと呼ばれる海外大手石油会社は、石油の探鉱、開発、生産・輸送、精製、販売までを一貫して手がける垂直統合を行っているが、日本の石油会社の多くは精製、販売(これを下流事業という)を主要事業とし、探鉱、開発(これを上流事業という)の機能を持っていない。

 しかし、エネルギー自給率を向上する上で、上流事業を担う石油会社の存在は日本にとって重要である。その一角を担うのが国内外で石油・天然ガスの開発・生産を行う石油資源開発株式会社(以下JAPEX)である。

 本事例では、JAPEXの情報・ナレッジ共有の場「PassionKnowledge」についてご紹介する。

 「PassionKnowledge」はイントラネット上に設置された石油資源の探鉱、開発・生産等に関する情報・ナレッジの共有システムである。「PassionKnowledge」導入後から技術者同士の活発なやりとりが始まり、個々人の持つ知識・ノウハウや各プロジェクトでの成功・失敗事例が拠点を越えて共有され、様々な業務課題の迅速な解決や、組織横断型のコミュニケーションの促進といった効果があらわれ始めている。

探鉱開発の事業特性と情報共有の課題

 JAPEXは、国内外で石油・天然ガスの上流事業を行っている日本の石油開発のリーディングカンパニーである。国内では、北海道、秋田県、山形県、新潟県に油田・ガス田を保有する。

 石油・天然ガスの上流事業は、基礎的な調査から資源の発見に至るまでの探鉱段階において、多額の投資と長い期間を要する。さらに資源の発見後の開発段階においても開発井の掘削、生産設備や輸送設備の建設等に多額の投資が必要となる。したがってJAPEXは、「埋蔵量の維持と拡大」「操業の安定化や効率化」「災害・事故の防止」を重要な経営課題と位置付けている。このような経営課題を解決する上で、技術的な知識・ノウハウをJAPEXの「組織知」として全社的に蓄積し活用していくことは必須である。例えば、昭和30年代から生産している油井もあり、20年前の調査結果が、現在のトラブル解決に有効に働くこともある。

 JAPEXでは、各部門によって利用しているIT基盤や運用ルールが異なっていたため、情報共有の範囲は各部門内に留まることが多かった。また一部の社員の間では技術に関する有益なディスカッションが行われていたものの、それを組織的、体系的に蓄積、公開していく仕組みが確立されていなかったため、そこでやりとりされた知識・ノウハウ等が全社で有効に活用されるには至らなかった。