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懸山聡

懸山 聡
(かけやま さとし)

プリンシパルコンサルタント
関西大学大学院 工学研究科 修士課程修了
コンサルティング会社 大手アクセンチュアのコンサルタントとして国内外のハイテク産業・情報通信産業の大手企業に対してコンサルティングを実施。リアルコムでは、ソニー、ファイザー製薬、鹿島建設、戸田建設など、主に製造業に対するコンサルティングを実施している。

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ナレッジマネジメントがチェーンオペレーションを加速させる
~ フランチャイズチェーンにおけるナレッジマネジメントの実践 ~

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マーケットデベロップメントグループ プリンシパル
懸山 聡

 フランチャイズやチェーン業界において、加盟店や店舗が増加するスピードに本部側の運営体制が追いついていない企業が多い。ただ、一部の先進企業では、本部の運営体制をコンパクトにまとめながらナレッジマネジメントを活用することで、チェーン全体の成長を加速させている。本稿では、フランチャイズやチェーン業界特有の課題とナレッジマネジメントによる解決策の方法論について紹介する。

1.加盟店の拡大がフランチャイズ運営業務を弱くする

フランチャイズ業界の現状と課題

 とある店舗での風景。山田店長兼オーナーはフランチャイズA社に加盟して1年。やっと経営状態も安定してきたと思っていた矢先、近隣に同業他社が出店してきた。その競合の店舗は、規模も大きく、華美な装飾も手伝って、オープン当日からにぎわっている様子だ。一方、その日を境に、山田店長の店舗では安定していた売上が日に日に下がってきている状況であった。このような状況を脱しなければならないと思った山田店長は、本部のスーパーバイザー(SV)に相談をしてみることにした。きっと同じような経験をした店舗が他にもあるはずだし、このような状況を乗り越えるための対策や方法もSVならばきっと知っていると思ったからだ。

 しかしSVは「もっとビラをまきましょう」「店内のクレンリネスを高めましょう」などと、いつもと同じようなアドバイスをするだけで、求めている答えが得られない。また、本部に直接問い合わせても「詳しいことはSVに直接聞いてくれ」とたらい回しにあってしまった。「経営指導料を含むと言っていた本部へのロイヤリティは何のために払っているのか・・・」と思わずため息が出る。本来ならばここで、他の加盟店の店長などに相談したいところだが、他の加盟店の店長には会ったこともなければ、電話すらしたことがない。完全に八方塞がりになってしまった山田店長は自力で改善を試みるも、思ったような成果が得られず、「こんなことなら、別のFCに加盟したほうが良いんじゃないか・・」そんなことまで頭によぎってしまうのであった・・・

 この話はフィクションであるが、最近似た話をいくつものFC本部や加盟店の間で聞くようになった。この背景には、FC業界を取り巻く環境がこれまでと変化しているからだと考えられる。

 近年、FC本部がビジネスを拡大するための環境が整いつつある。例えば、FCの加盟を募集するためのメディアの流通や大規模な資本を持ったメガフランチャイジーの出現、加盟店開発・加盟店支援を実施するコンサルティング会社の増加、ベンチャーキャピタルなどによるFC本部への投資環境の整備などが挙げられるだろう。これに伴い、急速に加盟店を拡大させているFC本部が増えてきているのだ。

 しかし、その一方で、急速に増える加盟店を支援するための本部の運営業務体制がその成長速度に追いつかないままになっているFC本部も多い。例えば、10~20店舗の加盟店を有していたFC本部が100店舗程度まで急速に拡大したものの、運営本部やSVの人員、運営プロセスなどがその変化に追いついておらず、運営本部での業務やSV一人が抱える担当店舗数が増大し、個々の加盟店の支援が立ち行かなくなるという状況がある。最悪のケースでは、FC本部からの支援が得られず、FCを脱退してしまう加盟店が増加し、FCビジネス全体が回らなくなってしまうということもあるのだ。つまり、加盟店を増やすことには注力をしてきたが、それを支える運営本部を強化しなかったために、結局はフランチャイズビジネス全体を弱体化させてしまうということになってしまっている。