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Autumn 2005 Vol.7
吉田 健一
(よしだ けんいち)
戦略コンサルティング会社を経て、リアルコム社BCGディレクター。KM・情報共有・企業変革コンサルティングをソニー、NTT、丸紅等の国内外の大手企業に対して手がける。
「情報マネジメント」がもたらす商社の組織力強化
~商社に求められる真の「ナレッジマネジメント」とは?~
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ビジネスコンサルティンググループ ディレクター
吉田 健一
商社において「ナレッジマネジメント」の取り組みが行われ て久しいが、これまで思うように効果をあげられなかった。近年、商社の次なる組織力強化の取り組みとして「情報マネジメント」に注目が集まっている。本稿では、商社という独特の業態における組織力強化の方法論について論じる。
注) 本稿は「日本貿易会月報」9月号に掲載された論文を、加筆修正したものである。
1.商社にナレッジマネジメントは必要か?
「21世紀の企業にとって最も重要な経営資源は知識である」と言われて久しい。特に「モノを仕入れて売る」という、知識格差・情報格差をマージンに変えて生計を成り立たせている商社にとって、知識・情報が生命線であるということは疑う余地のないところだ。しかし、このような「知識が重要である」という総論には皆賛成だが、こと「商社のナレッジマネジメント」という具体論になると、あまり芳しい話を聞かない。あなたの会社でも「ナレッジマネジメントは5年前に取り組んだが、結局使われないシステムだけ残って失敗した」という経験があるかもしれない。なぜ、商社においてナレッジマネジメントが成功しないのだろうか?
実のところ、ナレッジマネジメントは、他の業界では大きな成果をあげている。例えば、
- 製薬会社のロシュは、好業績営業マンを分析したところ「病院ではまず婦長と仲良くなる」「新薬を売り込む時は病院で薬事説明会を開く」といった共通の行動様式があることが判明した。そこで、こうした好業績営業マンの行動様式を体系化し、全営業マンに横展開することで売上げを20%向上させた。
- フォードでは世界各国の工場で生み出された「ボディの生産ラインにアルコールふき取り機を導入すると歩留まりが5%上がった」と いった改善事例を、全世界の工場に横展開する活動を行い、10億ドル以上の効果を実現した。
- ゼロックスでは全世界のフィールドエンジニアが参加するコミュニティを構築し、「製品型番XXXで紙詰まりが起きた場合は、ローラーに5セント玉を挟むと正常に動作する」といったマニュアルには記載されない非公式のノウハウを共有し、修理完了時間と補修部品コストの5%改善を実現した。
といった事例が発表されている。こうした他業界の事例については皆さんも「なるほど」と納得できると思う。しかし、これを商社で実現しようと思うとイメージが沸かないのではないか。
ナレッジマネジメントとは何であろうか。ナレッジマネジメントとは「個人または組織が保有している知識=優れた仕事のやり方を、他の人または組織に横展開する」という活動のことだ。しかし、商社ビジネスには、ナレッジマネジメントが行いにくい理由が2つある。
(1)知識が体系化できない
商社マンにとっての知識とは「東欧マーケットでエチレンガスは来年春には値が上がる」といった「揮発性の高い」情報であり、すぐに陳腐化してしまう。また、ハイクラスの商社マンのノウハウとは「中小企業と取引する時は社長の風格でリスクを判断する」といった非常に「暗黙知的」なものであり、体系化するのが極めて困難である。
(2)体系化しても横展開できない
商社マンは部門間・個人間でその仕事の内容が「ミサイルからラーメンまで」大きく異なり、横展開が難しい。また、機密性の高い知識・情報が多く、個人や組織を超えて共有するのが難しい。
商社という業態はこうした特性を持っているため、他業界と比べてナレッジマネジメントに適さない。すなわち、商社マンの知識は極めて高度で暗黙知的であり、それを「マネージ」するのは困難なのだ。







