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Autumn 2005 Vol.7
村田 聡一郎
(むらた そういちろう)
プリンシパルコンサルタント
東京都立大学法学部卒、ライス大学MBA
外資系IT企業勤務、米国本社駐在を経てリアルコムに参画。ナレッジマネジメントコンサルタントとして、国内外の大手企業のナレッジマネジメントプロジェクト・企業変革プロジェクトに参画。主にIT系、グローバル、営業系のナレッジマネジメントに精通。
「日本発のKMソリューションは米国企業にも通用する」
~ダベンポート教授 単独インタビュー~
リアルコム(以下R)、 ダベンポート氏(以下D)
(前ページより 続き)
- R
- 次の質問に移りましょう。リアルコムの提供している製品やサービスが日本独特のビジネス慣習に依存していると感じた点はありませんか?
- D
- いいえ、これまで私が拝見した限りでは、純日本的で米国企業には通用しない、といったものは全くありません。リアルコムが提供しているソリューションは米国企業が求めているものと変わらないと思います。リアルコムのケーススタディ、たしかファイザージャパンのものだったと思いますが、そこに登場するユーザーはそれを「ナレッジマネジメント」とは意識していませんよね。ただ単に、自分たちの仕事をより早く確実に実行することを助けてくれるツール、と見ています。多くの欧米企業が求めているのもそれです。彼らは「ナレッジマネジメント」がやりたいわけではない。ただ単に業績を改善させたいだけなのです。そうそう、リアルコムは米国進出を計画しているとおっしゃっていましたが、最近、米国ではナレッジ系システムの一形態として「コンテンツ・マネジメント・システム」にも注目が集まっています。どうやら「コンテンツ」もまだOKワードのようです(笑)。
- R
- しかしコンテンツマネジメントとは、一昔前の「ドキュメント・マネジメント」とは違うんですか?
- D
- 最近のコンテンツマネジメントは、ドキュメントだけでなく、例えばWebサイト(HTML)やEメールなど様々なフォーマットのものを含むのが特徴です。例えばあるIT企業では最近、コンテンツマネジメントのプロジェクトに10億円近い投資を行いました。KM関連の投資としてはかなり大規模のものと言えるでしょう。このプロジェクトでは、既存のIT環境に散在していたデータを整理・フォーマット変更し、すべてを単一のコンテンツ・マネジメント・ポータルにまとめ直しました。この作業は膨大なフォーマット変更やメタデータ付加を伴うため、労働単価の安いインドや中国の企業を使ったとのことです。
- R
- なるほど。ご参考までに、リアルコムの事例として、東京三菱銀行では同じようなプロジェクトを行いました。従来、本店の各部が作成し共有するコンテンツはロータスノーツのDB約1,200個に散在しており、全国約400支店の営業スタッフは情報を得るためにはそれらをひとつひとつ見に行かなければならなかったのです。そこで東京三菱銀行はそれらのコンテンツを整理・棚卸し、KnowledgeMarketポータルにまとめて提供するようにしたのです。これにより銀行の営業社員は、あちこちのノーツDBを探し回るかわりに「リテール営業コミュニティ」あるいは「法人営業コミュニティ」のどちらか一箇所だけを探せばよくなりました。
- D
なるほど、考え方は同じですね。ところで、もし米国に進出されるのであれば、リアルコムのサービスをどのように位置づけるか、については考えておかれたほうがよいでしょう。コンテンツ・マネジメントなのか、ナレッジワーカーの生産性向上なのか、ポータルなのか?です。ちなみにポータルの場合であれば、最近のトレンドは「職種特化型ポータル」です。「全従業員に適用できるポータル」はあまり成功していません。また、「KM プロジェクトを数値指標で計測する」というリアルコムのアプローチもよい考え方だと思います。基本的には「プロセス指標」を計測するんですよね? 事前と事後でそれぞれ計測してプロセスが改善されたことを確かめる。- R
- そのとおりです。日本企業も、必ずと言っていいほどKMプロジェクトの「ROI」つまり投資対効果を求めてこられますが、リアルコムでは効果を「金額」として表示することにはあまり注力していません。なぜなら、金額を算出する際には何かしらのプロセス指標の改善をもとにして金額に「換算」するわけですが、その換算比率を決めるときに恣意性が入り込むからです。例えばKMによってある作業にかかる全ナレッジワーカーの業務時間が平均5%改善されたという事実があるとしても、それをいくらに換算するかは考え方しだいです。実際の人件費が5%減るわけではなく、実際には浮いた5%は他の生産性の低い業務に使われてしまったりするわけですからね。つまり金額指標は客観的に見えますが、実はそうではない。それなら、むしろプロセス指標の改善、例えばさきほどの「業務時間の5%短縮」などの客観的な数値に着目したほうがよいとリアルコムは考えています。もちろん、企業にとって価値のある指標でなければいけませんが。
- D
- 指標には3つのレベルがあります。まず「アクティビティ指標」。例えば、社員がどのくらいこのデータベースを使うようになったか、あるいはこのシステムはどのくらい使われているか、といったものです。次のレベルが「プロセス指標」。 新薬開発にかかる時間がどのくらい短縮されたか、顧客対応時間はどのくらい改善したか?といったもの。そしてもし、この2つのレベルをうまくやることができれば、最後のレベル、「金額指標」も算出することができるかもしれません。しかしこれはおっしゃるとおり、実際にはかなりの難関です。多くの企業は最初の2つのレベルですら苦労していますから、金額指標を算出するのはさらに難しいと言えるでしょう。
- R
- 教授が日本語をお読みになれたらと思うのですが(笑)、リアルコムの著書「この情報共有が成果を生む」の中で、リアルコムはまさに今おっしゃったとおりのアプローチを解説しています。17ページの「GISツリー」がそれですが、それぞれ「ソリューション」はさきほどの「アクティビティ指標」、「イシュー」は「プロセス指標」、そして「ゴール」は「金額指標」に相当します。
- D
- おお、すばらしいですね。この本は売れていますか?
- R
- おかげさまで、弊社の「顧客開拓の先兵」を務めてくれています(笑)
- D
- (パラパラとめくって)ほかにもさまざまなアプローチが解説されているようですね。DMAICアプローチも使っているんですね。 私も、日本語が読めたらと思いますよ(笑)

- R
- 本日はありがとうございました。
- D
- ぜひ今後とも意見交換を続けて行きましょう、メールでも電話でも。それから、11月には日本にいく予定があります。みなさんにお会いできることを楽しみにしています。
トム・ダベンポート教授主宰、ワーキング・ナレッジ・リサーチ・プログラムの
・ワークショップ参加報告







