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Autumn 2005 Vol.7
松本 崇志
(まつもと たかし)
プリンシパルコンサルタント
米系ソフトウェア企業にて、新規事業立ち上げに従事。またプリセールスコンサルタントとして製薬・化学・食品等業界向けにコンサルティングを実施。リアルコムでは主に電力・製薬等の大企業向けにコンサルティングを実施している 。
製薬企業の臨床開発におけるナレッジマネジメント
~組織力を強化する3つのアプローチ~
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ビジネスコンサルティンググループ プリンシパルコンサルタント
松本 崇志
医療費抑制策の進展やICH1の 進展に伴うグローバル化、研究開発コストの増大、世界的なM&Aの増加など、製薬企業を取り巻く環境は厳しい状況にある。この中で、新薬開発力の強化は製薬企業の大きな課題となっている。本稿では臨床開発の効率化に向けた施策の一つとして、ナレッジマネジメントをどのように実行すべきかを先進事例の紹介と3つのアプローチを通して解説していく。
1. International Conference of Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceutical for Human Use /日米EU医薬品規制調和国際会議
1.製薬企業を取り巻く環境
2004年4月の診療報酬改定によって平均4.2%に及ぶ薬価の引き下げが行われ、これに伴い国内医療用医薬品市場の成長はますます鈍化している。加えて、最近では製薬業界の「2010年問題」が注目されている。これは1990年代に発売された製薬企業各社の大型新薬が2010年前後 に相次いで特許切れを起こすことを意味している。製薬企業各社の収益構造は主力の大型新薬の売り上げへの依存が高いため、特許切れする大型新薬の後継ぎとなる新薬の早期開発が必要であり、研究開発費用は年々高騰しているが、実際の新薬は出にくい状況にある。製薬企業では将来的の収益源を確保するために、新薬の効率的な開発が求められている。
2.ナレッジマネジメントによる3つのアプローチ
2-1.課題解決 4つの視点
このような苦境において、製薬企業の重要な経営課題である臨床開発の効率化実現の方向性を検討する。まず、臨床開発の効率化実現に向けては、「A:戦略」「B:業務プロセス」「C:IT」「D:ヒト・組織」の4つの視点がある(図1)。
こ れらの4つの視点で製薬企業各社はそれぞれ新薬の効率的な開発に向けた取り組みを行っている。医薬産業政策研究所の調査によると臨床開発の推進に重要な要因として、「D:ヒト・組織」に関連した項目が指摘されている(図2)。また後に述べる先進事例からも「D:ヒト・組織」に関する取り組みの重要性は注目に値する。新薬の効率的な開発を実現するための施策として、まずはナレッジマネジメントによる「臨床開発のヒト・組織の強化」について解説する。
これまでにリアルコムが製薬企業に対してヒアリングを実施した結果、現状の開発組織における「ヒト・組織」において、二つの課題があぶり出された。この二つの課題が臨床開発の効率化を阻害する要因の一つであると考えられる。

一つ目の課題として各開発担当者が担当製品に専念するあまり、他の製品チームと知識やノウハウの共有ができていなかったことがあげられる(図3)。これはプロジェクト間の関係における問題である。このため、組織としての力が最大限に発揮されていないという問題が発生している。具体的には部門やプロジェクト間で過去の失敗例などの共有が行われないため、複数のプロジェクトで同じ失敗が繰り返される結果となっており、プロジェクトにおいて獲得された有用な知識・経験・ノウハウなどがプロジェクト間をまたいで共有できていないという問題を引き起こしている。臨床開発をはじめとするプロジェクト型業務においてはこれらの問題が発生するケースが多く見られる。これはプロジェクト型業務においては、プロジェクト内が活動の単位であり、他のプロジェクトやプロジェクト外の動きに対してはあまり関心が持たれなくなるためである。
二つ目の課題として、組織に存在するベテランやエキスパートの知識・経験・ノウハウがそれ以外の社員に継承されていないため、組織力を最大化できていない点があげられる(図4)。これは一つ目の課題がプロジェクト間の関係であったのに対して、個人間の関係における問題である。具体的には図4のように同じCRA2でも各人が持つスキルにはレベルが存在しており、いかに優秀なCRAが持つ知 識・経験・ノウハウをスキル的にやや劣るCRAに移管していくか?といった問題がある。この知識・経験・ノウハウをどう移管するかは新人あるいは中途採用のCRAへの教育においても同様に問題となっている。

2. Clinical Research Associate / 治験モニタリング担当者







