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Winter 2005 Vol.5
村田 聡一郎
(むらた そういちろう)
ディレクター
東京都立大学法学部卒、ライス大学MBA
外資系IT企業勤務、米国本社駐在を経てリアルコムに参画。ナレッジマネジメントコンサルタントとして、国内外の大手企業のナレッジマネジメントプロジェクト・企業変革プロジェクトに参画。主にIT系、グローバル、営業系のナレッジマネジメントに精通。
SI業界におけるナレッジコミュニティの活用
~人月の呪縛から脱出するために~
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ビジネスコンサルティンググループ ディレクター
村田 聡一郎
SI業界において今後必須となるのは、「社員の心」にフォーカスした「ナレッジコミュニティ1」の形成だ。知識労働者を労働集約的に使うSI企業では、従来の「タテ組織」とも「プロジェクト」とも異なる「第三の知識の流れ」を活用していく必要がある。
本稿では、1.ナレッジの活用を通じた顧客サービス品質の向上、2.プロジェクトマネジメントの定着、3.新規ビジネスの創造、という3つの切り口でナレッジコミュニティを活用している事例を取り上げ、SI業界が今後実施すべきナレッジコミュニティの姿について検証する。
なお本稿ではSI業界の事例を挙げて説明しているが、いわゆる「プロジェクト型」業種、例えば建設業やエンジニアリング会社、あるいは製造業の製品開発などの業種においてもほぼ同様のことが当てはまるので、ご参考いただきたい。またSIベンダーだけでなく、一般の企業の情報システム部門にも適用できることはもちろんである。
1. SI業界が抱える3つの課題
システムインテグレーション(SI)業界は近年、厳しい競争の波にさらされている。顧客となる企業が軒並みIT投資を抑制しているため、数少ないシステム開発案件を多数のSIベンダーが取り合う構図になっており、結果として人月単価(システムエンジニア(SE)1名の1ヶ月分の対価)は下がり続けている。
特に、1.情報共有が進まず同じようなミスが社内のあちこちで繰り返されている、2.「赤字・納期遅れ・品質不十分」のいわゆる「失敗プロジェクト」が減らない、3.事業領域が特定の大口顧客や従来型の技術分野に偏った「一本足打法」になってしまっている、の3点は多くのSI企業にほぼ共通した課題となっている。もちろん各社ともそれぞれに対応策を打ってはいるのだが、なかなか有効な打ち手がなく苦労している例が多い。
こうした中、社内に構築した「ナレッジコミュニティ」を活用し、社員の知識や経験そしてモチベーションを最大限に活用することで競争力強化に成功したSI企業が出てきた。本稿ではこうした企業の事例を紹介しながら、ナレッジコミュニティ活用のポイントを探っていきたい。
2. 社内のナレッジを流通させる「Q&Aコミュニティ」
SI企業に共通する悩みとして、「社内にあるナレッジが十分に生かされていない」というものがある。社内には様々な技術分野のエキスパートや豊富な業務知識と経験を持ったベテランがいるはずなのだが、具体的に「誰がどの分野に詳しいのか」を知る手段がないため、個人的な知り合い以外には助言を求めることができず、結果として問題が大きくなったり、同じミスが社内のあちこちで繰り返されたりしている。
これにはSI企業特有の「プロジェクト制」も影響している。日常業務がプロジェクト単位の縦割り組織となっているため、すぐ隣にいるチームがどんなことをやっているのか知らないことも多い。客先に常駐しているメンバーも多いので、ますますヨコのコミュニケーションが取りにくくなっている。またプロジェクトごとの独立採算であるため、自分のプロジェクトのことしか考えない雰囲気があり、「よそのプロジェクトに手を貸すヒマがあったら自分の仕事をやれ」といった目で見られることすらある。しかしその結果として、知識、経験、成功談・失敗談といった「ナレッジ」が社内で横展開されず、会社全体としてみれば同じ苦労や失敗を繰り返すことになってしまう。
もちろん、各社ともこうした問題点を手をこまねいて見ているわけではない。「掲示板」「共有ファイルサーバー」「スキルデータベース」といった知識や経験値を共有するための取り組みを全く行っていないという企業はおそらく皆無であろう。しかし、そうした情報共有の仕組みが「十分に機能しており、情報共有に問題はない」と言い切ることができる企業は多くないのもまた現実である。「ナレッジデータベースを構築したのに、投稿が少ないため情報量が少なく、よってアクセス数も少ない、という悪循環に陥っている」とか、「プロジェクト成果物は必ず共有ファイルサーバーに入れるようにと指導しているが、どのプロジェクトも人手不足なのでつい後回しになっている」、あるいは逆に「なんでもかんでも放り込むため、雑音が多すぎて使い物にならない」といった話をよく聞く。
こうした課題をナレッジコミュニティを活用することで解決している、NTTソフトウェアの事例を見てみよう。







