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吉田健一

吉田 健一
(よしだ けんいち)

CMO(最高マーケティング責任者)
戦略コンサルティング会社を経て、リアルコム社CMO(最高マーケティング責任者)。KM・情報共有・企業変革コンサルティングをソニー、NTT、丸紅等の国内外の大手企業に対して手がける。

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自己変革組織の実現による現場力強化

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CMO(最高マーケティング責任者)
吉田 健一

 21世紀を迎え、企業組織は大きく変貌を遂げつつある。旧来のピラミッド型組織が老朽化・硬直化しつつある今、先進企業は自己変革組織へとシフトし現場力を強化しようとしている。本稿では自己変革組織を実現するための2つの要素、「自律分散」と「全体最適」について論じる。

1. ピラミッド型組織の老朽化・硬直化

生産性向上の見果てぬ夢

 まず、次の質問に答えてほしい。あなたの会社でこんな問題は起きていないだろうか?

  1. (1) 部門間の壁が高く、部門に閉じた仕事のやり型を好む
  2. (2) 部分最適に陥りがちで、全体最適という観点がない
  3. 組織横断的な課題解決がうまくいかない
  4. (4) 各部門で何度も同じ失敗を繰り返している/成功を横展開できていない
  5. (5) 会社の経営問題に対する当事者意識が希薄である
  6. (6) 自ら問題提起を行い解決していく自律性や仕事に対するプロ意識が後退している
  7. (7) 現場の情報が経営に反映さるスピードが遅く、何をするにも動きが鈍い
  8. (8) 現場が実際に何をやっているかマネジメントが知らない、情報の風通しが悪い

 もし、この8つの項目のうち4つ以上が当てはまる場合、あなたの会社は赤信号だ。会社組織が機能不全に陥りかけている。組織の「心不全」「脳梗塞」が起こる前に、一刻も早く組織改革に取り組む必要がある。

 なぜこうした問題が起きるのか。こうした問題は、これまで近代社会の成長を支えてきたピラミッド型組織の老朽化・硬直化に起因して発生している。ピラミッド型組織とは、産業革命以来の組織を支えてきた上意下達の組織運営の仕組みである。現場スタッフの業務はトップによってプログラムされ、問題が発生した場合には階層構造(ヒエラルキー)の階段を上がって対応が図られるというモデルであり、その高い効率性によって近代産業の発展が成し遂げられた(図1)。

 しかし、あまりにも組織の細分化、専門化、階層化が進行し、それを管理するための管理組織が肥大化すると、組織運営が硬直化してしまい、組織として正常に機能しなくなる。例えば、2000年6月に発生した雪印事件における問題発覚後のスピードの遅さ、判断の過りはピラミッド型組織の失敗を改めて露見する結果となった。昨今メディアを騒がせている三菱自動車も然りである。日産がV字回復を遂げ、三菱自動車の信頼は地に落ちた。この2社は何が違っていたのか。三菱自動車の社員が不真面目だったわけでも、優秀でなかったわけでもない。マネジメントの戦略が間違っていたわけでもない。ただ、三菱自動車の組織が老朽化・硬直化し、情報の「動脈硬化」が起きて、リコール隠しへとつながってしまったのである。

 また、変化のスピードが早く不確実性が極めて高い今日の環境下では、プログラムされたピラミッド型組織は逆に非効率となり、環境に瞬時に対応ができずに機会を逃したり、情報が全組織に流れずに個別最適に陥ってしまうという状況が起こる。新しい環境に対応できずに消えていく企業は、ピラミッド型組織の弊害を乗り越えられなかったといってよい。

 そもそも日本では、欧米で開発されたピラミッド型組織の問題点を補完する形でミドルがリーダーシップを発揮する「ミドルアップダウン経営」や現場主導の小集団活動といった「日本的経営」を作り上げ、80年代の日本企業の競争力を生み出したはずであった。しかし近年では、ミドルに対する権限委譲が規律のない総花志向の経営を生み、現場主導の集団的経営が総無責任化につながった結果、その強みが弱みとなってしまい、かえってピラミッド型組織の問題を膨らませているのである。

図1:ピラミッド型組織

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