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Winter 2005 Vol.5
在賀 耕平
(ありが こうへい)
プリンシパルコンサルタント
慶應義塾大学商学部卒
リアルコムにおいて情報共有、ナレッジマネジメントコンサルティングを大手商社、大手SIer、応用地質等の国内大手企業に対して手掛ける。
IP電話導入によるコミュニケーションの高度化とは?
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ビジネスコンサルティンググループ プリンシパルコンサルタント
在賀 耕平
IP電話を導入する企業が増えている。その主な狙いは「通信費の削減」であるが、IP電話のメリットはコスト削減にとどまらない。利用方法次第では、社内のコミュニケーションフローを劇的に改善し、生産性を向上させることができるのだ。本稿では、その具体的な方法論を述べていくことにする。
1.IP電話導入の最新の動向
IP電話とは、インターネットで使われているIPプロトコルベースで構築した電話ネットワークのことである。このネットワークは、1つの回線を多数の会話で併用できるなどの点で従来の電話よりも回線の使用効率が良く、従来の電話よりも低いコストでサービスを提供できる。またIP電話には、必ずしも電話機は要らない。PCを使って、電話をすることが可能であるからだ。むしろPCを電話機として使うことによって、IP電話の可能性はさらに広がる。カメラを付ければテレビ会議が可能になり、自分のPC画面を相手側に映し出せば画面を共有しながら電話をすることもできる。
このような多様な可能性を秘めたIP電話を、積極的に導入する企業が増えてきている。2003年末までにIP電話を導入している企業は既に10%を超えている(図1)。導入はしていないが「導入予定あり」と回答している企業も40%強に達する。
多くの企業がIP電話導入に前向きな姿勢をとっているが、担当者は何を目的に導入するのであろうか。図2を見ていただこう。コスト削減が大きな目的であることには変わりないが、45%の担当者がコスト削減だけではなく、コミュニケーション高度化も併せて目的としているところに注目してほしい。


コミュニケーションの高度化とは?
ここでいう「コミュニケーションの高度化」とは何を指すのだろう。テレビ電話ができるようになればいいのか。それとも、画面共有によって離れた場所で同じ画面を見て電話ができればいいのか。シンプルに考えてみたい。企業にとっては、「高度なコミュニケーション」がとれることによって、業務効率が上がり、生産性が向上すればいいのである。この単純だが当たり前のことを認識すると、コミュニケーションの高度化という目標がわかりやすくなる。
では、IP電話を導入したからといって、本当にコミュニケーション高度化が実現するだろうか。簡単に実現する部分もある。例えばプレゼンス情報(本人が席にいるかの情報)を表示することにより、無駄な電話をしなくてもよくなる。あるいは、全てを直通電話にして、名刺に直通電話の番号を印刷することによって、余計な電話応対時間を削減することも可能であろう。
しかし、IP電話という最新の技術を利用して、新しいコミュニケーションの手段を提供すればいいという訳でもない。IP電話を導入された企業にヒアリングに行くと、「うちの会社にはメールも、グループウェアも、共有ファイルも、IP電話も、テレビ会議システムも、インスタントメッセンジャーもそろっている。これだけツールがあるのだから、ユーザーは好きなツールを使って自由にコミュニケーションを取ることができるはずだ」という声を聞くが、これは認識違いではないだろうか。むしろ、たくさんのコミュニケーションツールがあることが問題なのだ。
オフィスにネットワークが導入される以前には、通信手段は電話しかなかった。しかし今は、電話に加えて、電子メール、掲示板、各種グループウェアなど様々な手段が存在している。ユーザーはどのような時にはどの手段でコミュニケーションをとればいいのか明確にわかっていない。そのため非常に繊細な情報をメールでぶっきらぼうに送ってしまったり、大量の情報を電話で伝えてしまったりというような事態が起こっている。手段が増えることにより、逆にユーザーは混乱していることのほうが多いのではないだろうか。IP電話、チャットなどのコミュニケーション手段を増やすのではなく、生産性の向上に結びつけるためには、まず社内のコミュニケーション上の問題を把握しなければならない。
コミュニケーション上の問題を解決するために、IP電話の機能をフルに使うこともあれば、人事制度、組織を変えなければならないということも出てくる。先進企業はどのようにコミュニケーションの問題を解決しているのであろうか。次章では実際の事例を見ていくことにしよう。







