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Spring 2004 Vol.2
中澤 徹
(なかざわ とおる)
製品企画ディレクター
東京大学大学院工学系研究科 修士課程修了
戦略系コンサルティング会社を経て、リアルコムに入社。
クライアント企業への情報共有・企業変革コンサルティングプロジェクトでの経験をベースに、製品企画担当としてKnowledgeMarketに加え、Notes関連製品(HAKONE for Notes、Notes Watcher)のプロダクトマネージャーを務める。
Notes/Dominoでの情報共有:その限界と解決策
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プロダクトグループ 製品開発ディレクター
中澤 徹
BTMでは、システム・情報の移行に当たって、既存の情報資産の棚卸しを行った。すでに蓄積されていた約9万の文書を、顧客の視点での営業プロセスに合わせて提供するために、1つひとつの文書を商品別・業務プロセス別のマトリックスで整理したのである(図9)。

情報の品質を見極める作業は自動化することができないため、多大な人手を要するものであったが、その分得られた果実も大きいものであった。精査した結果、9万あった文書のうち、残す価値のあるものは2万に絞られ、しかもそのうちKnowledgeMarketに移行して今後も頻繁に利用する価値のあるものは6,000にすぎなかった。蓄積されるだけで鮮度・品質がわからなかった膨大な文書が整理され、求めている文書にアクセスしやすくなり行員の生産性が向上したのである。
知力のマーケットは、単なる文書管理ではなく、行員の知的活動の場である。BTMでは、業務、拠点、役職別に300を超えるコミュニティを設計し、行員は自分に関連する複数のコミュニティに所属し、必要な情報を利用することができる。このコミュニティは、組織の枠を超えたものも多い。このコミュニティにある『プロジェクト機能』を活用して、例えば、新しく埼玉県所沢市に「MTFGプラザ」を出店する際のプロジェクトメンバーの情報共有の場として支店・本部を越えて利用されたり、新規商品開発において商品企画部門とシステム部門が協業するためのプラットフォームとして利用されたりしている。
これらのコミュニティに掲載されている情報には、どのくらい利用されたか、どのくらい役に立っているかを閲覧数、利用者からのフィードバックという形で把握することができる。そのため、今後は移行時に行ったような情報の取捨選択を、継続的にしかも楽に行えるようになっているのである。更に、閲覧情報は、情報の発信者側の意識も変えていった。発信した情報がどの程度閲覧され利用されたかが一目でわかるため、全行員に通知するべき情報が浸透していない場合は別の手段でも通知を行う、というような本来の情報発信の目的が達成するためのアクションが取れるようになった。また、利用度がわかるため、より利用者の視点で価値の高い情報を発信していく、逆に利用価値の低い情報は、その作成業務そのものを見直すという業務改革につながっていった(図10)。
トップダウンのビジョンに基づいて改革を進めたBTMであるが、OPENポータル、知力のマーケットの浸透にはやはり時間が掛かった。2~3割の行員は、特に障害なく利用し始めたようであるが、使い慣れたNotes/Dominoの操作性との違いにとまどいがあったようである。しかし、推進役である総合企画室を中心に現場を行脚し、OPENプロジェクト自体の意義や、システムの利用方法を啓蒙することで徐々に壁を取り払っていった。こうした取り組みもあり、現在ではBTMにおける情報系システムの根幹として利用されている。BTMではさらに、利用者である行員の声をくみ上げるため、「OPEN POLL」という電子アンケートを実施している。現場の生の声をフィルターにかけることなく、経営トップに伝え、継続的な改善を行っている。

5. システム強化と運用再設計が経営効果を生み出す
Lotus Notes/Dominoが企業内の情報化を進展させ、情報を蓄積し共有しようという土壌を作り上げてきたと言って過言ではないであろう。しかし、全知全能のソフトウェアなどありえない。情報共有が戦略的課題の実現手段として重要性を増しており、時代が求めるスピーディな情報共有と全体最適の実現という点では、その限界も明らかになっている。
とはいえ、既存の資産を考えると、Notes/Dominoを捨て去ることは必ずしも賢明とは言えない。この資産を活かしながら人中心の情報流通を実現するソリューションで情報システムの強化を行う必要がある。同時に、業務改革の目的を定義し、業務プロセス・運用ルールを再設計することもセットで考えることを忘れてはいけない。事例で紹介した先進企業のように明確な目的意識を持ち、システム強化と運用再設計という両輪がそろえれば、Notes/Dominoの限界を超えて情報共有による経営効果を生み出すことが可能になるのである。
■参考文献
- Inside Notes 他、各種IBM公表資料
- 金融財政事情 2003年10月27日号







