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Spring 2004 Vol.2
中澤 徹
(なかざわ とおる)
製品企画ディレクター
東京大学大学院工学系研究科 修士課程修了
戦略系コンサルティング会社を経て、リアルコムに入社。
クライアント企業への情報共有・企業変革コンサルティングプロジェクトでの経験をベースに、製品企画担当としてKnowledgeMarketに加え、Notes関連製品(HAKONE for Notes、Notes Watcher)のプロダクトマネージャーを務める。
Notes/Dominoでの情報共有:その限界と解決策
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プロダクトグループ 製品開発ディレクター
中澤 徹
2. 今求められている「真の」情報共有と、現状のシステムの課題
では、今求められている「真の」情報共有とはどのようなものなのか? それは「部分最適から全体最適へ」「蓄積から流通・活用へ」そして「データ中心から人中心へ」という、3つのキーワードで象徴されている。
部分最適から全体最適へ
[求められる要件] これまで日本の企業では「カイゼン」により絶え間ない業務の効率化を進めてきた。この「カイゼン」活動は、個人からグループ、部門全体へと適用の範囲は広がってきている。これは特定範囲の効率化には限界があり、閾値を越えると部分最適に陥る可能性があるためである。現在は部門・企業という組織を越えた全体最適を見通した効率化が急務となっている。例えば物流の最適化は、初期は企業内の在庫管理による在庫レベルの適正化に始まり、企業の枠を超えて販売予測、流通在庫の最適化、調達まで一貫したサプライチェーンマネジメントによる全体最適に進んでいる。
情報流通も同様である。顧客のニーズが多様化し、技術・学問分野もより学際的になっている状況下では、これまで取り組んできたグループ内、部門内だけでの情報共有では部分最適に陥ってしまう。部門組織を越えた情報共有により組織の英知を結集し、全社最適を実現することが求められている。
[Notesの課題] しかし、既存の情報共有システムは、特定のグループ内での情報共有のみを目的としているため、常にその業務に関っている人は情報にアクセスでき、そうでない人はアクセスできない。これでは全体最適には程遠い。Notes/Dominoは、グループ内での情報共有をデータベースを単位として行うことを目的として設計されている。データベースの独立性が高く柔軟な設計が可能なのだが、一方で複数のデータベースを横断した全体像の俯瞰・情報の検索・閲覧が難しく、「たこつぼ化」してしまうのである。
蓄積から流通・活用へ
[求められる要件] これまで日本の企業では「カイゼン」により絶え間ない業務の効率化を進めてきた。この「カイゼン」活動は、個人からグループ、部門全体へと適用の範囲は広がってきている。これは特定範囲の効率化には限界があり、閾値を越えると部分最適に陥る可能性があるためである。現在は部門・企業という組織を越えた全体最適を見通した効率化が急務となっている。例えば物流の最適化は、初期は企業内の在庫管理による在庫レベルの適正化に始まり、企業の枠を超えて販売予測、流通在庫の最適化、調達まで一貫したサプライチェーンマネジメントによる全体最適に進んでいる。
[Notesの課題] そう考えると、今のシステムはあまりに受け身過ぎないだろうか。必要な人に情報が届いているかわからない。しかも、蓄積されていく一方の情報は、鮮度・品質が管理できておらず、玉石混交の状態になっている。売れ筋商品も死に筋商品も区別なく、賞味期限切れの商品も雑多に積み上げられている店で買い物をしたくなるわけがない。顧客の視点で「情報」という商品を取捨選択しなければならないのだ。これを支えるのがPOSのような顧客の購買行動を記録する商品管理システムである。しかし、現在の文書管理システムにはPOSのような仕組みがないため、現状把握すらできず、顧客のニーズもとらえられないのである。
データ中心から人中心へ
[求められる要件] あなたの知識をすべてデータ化・文書化してください、と言われてもそれは無理な話であろう。膨大な時間がかかるし、そもそも人が頭の中に持っている知識の大部分は文書化できない。また、環境変化とともに知識の有用性の前提条件が変化していくため、文書化された時点からすでに陳腐化が始まっている。といって、随時最新の情報に更新するのも手間である。
では、どうすればよいのか? それが、データ中心から人中心への発想の転換である。つまり、知識は人に付着しているもので、文書化された知識は常に陳腐化しているということを与件とし、人と人のインタラクションを促すことで情報を共有するのである。このとき、データは適切な人を探すためのきっかけととらえる。この発想から出てきたのが、「Community of Practice(知識共有・深堀のための実践コミュニティ)」や「Best Practice Transfer(ある組織の好事例を他組織に横展開する)」という情報共有の手法である。
これらの手法では、業務のアウトプットとして作成された正式な成果物だけでなく、途中のプロセスでやりとりされた非公式な情報も重視する。意思決定の過程で議論されたことにこそ本当のノウハウが入っているからだ。また、即断即決を求められるビジネスの最前線では、組織の正式な回答を待ってばかりいては間に合わないため、利用者が責任を持つ形で、非公式でも複数方面からのスピーディな回答を得られるような仕組みも必要になってくる。また、文書での情報共有ではやはり限界があり、最後は電話なり直接会うなりしてディスカッションすることになるので、文書からその人とコンタクトするためのKnow-Whoの仕組みも必須となる。
[Notesの課題] Notes/Dominoはデータを中心に据えたデータベースアプリケーションソフトである。文書の作成者にコンタクトする際には、自分で作成者の名前を調べ、社内電話帳をめくって所属や役職を探して、ようやく電話やEmailができる。これではダイナミックな人と人のインタラクションはなかなか生まれてこない。また、運用ルール上の問題の方が大きいが、システムの自由度が高いために、組織の壁・旧来の業務プロセスに合わせてシステムを構築してしまい、非公式かつスピーディな情報共有が実現しにくくなってしまっているのも事実である。
このように、一部はNotes/Dominoでも可能ではあるが、時代が要請している情報共有を実現する上では多くの限界がある。これがNotes/Dominoユーザーの悩みにつながっている。
しかし、既に述べたように、(1)コミュニケーションプラットフォーム、(2)業務アプリケーションの部分では、ここまで完成度の高いソフトウェアは見当たらない。また既に全社プラットフォームとしてNotes/Dominoが導入されている企業では、他システムへの乗り換えも難しいだろう。では、どうすればよいのだろうか







