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Autumn 2008
林 宏典
(はやし ひろのり)
ジョージワシントン大学 プロジェクトマネジメント学科修了
総研系コンサルティング会社を経てリアルコムに参加。石油探鉱・開発、ソフトウェア開発などプロジェクト型産業でのナレッジマネジメントに強い。
イノベーション進化論
~ P&Gのヒット商品誕生を支え続けたナレッジ施策の全貌 ~
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ビジネスコンサルティンググループ
林 宏典
企業の競争力を維持し、強化していくためには研究開発におけるイノベーションは喫緊の課題である。増加する一方の研究開発投資に対して、その結果に満足している企業は多くない。
本稿ではイノベーション先進企業として知られるP&G社の研究開発における取組を通じて、イノベーションを実現するナレッジマネジメント施策について解説する。
1.イノベーションが求められる必然
グローバル化が進む多くの日本企業において、イノベーションの重要度はますます高まっている。自動車や電子機器などの製造業を中心に、世界に確固とした存在感を持っていた我が国も、中国やインド、ベトナムなどの低コストオペレーションに圧倒されつつある。
厳しさが高まるビジネス環境において、高コスト体質の日本企業が競争力を維持・強化していくためには、付加価値による差別化が必要であり、その源泉であるべき研究開発に注目が集まるのは必然といえる。加えて、顧客ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短縮化、技術の高度化・複雑化といった要因も、企業に研究開発力の強化を促している。
このような状況の中、実際に多くの企業が革新的な新製品や技術の開発による競争優位の確立を錦の御旗として、積極的な研究開発投資を行っている。(図1)

しかしながら、増加した研究開発投資の見返りである研究開発成果に満足している企業はいずれの業界においても少ない。不確実性の高い研究開発における生産性をいかに高めていくかが、多くの企業にとって重要な経営課題となっている。
2.研究開発生産性向上にむけての課題と解決のアプローチ
研究開発の生産性を向上する道は2つしかない。「(1)有望案件を増やす」か、あるいは「(2)Time to Marketを短縮する」かである。(図2)
初期ステージにおいて生み出された多種多様な案件を、その後のプロセスで絞り込んでゆく研究開発では、質・量の両面で有望案件を増やすことが、最終商品化の成功には重要だ。社内リソースだけでは限界があるが、近年では「オープン・イノベーション」という概念により、社外の知見を積極的に活用して、有望案件の増加に取り組んでいる企業も少なくない。
また、コストに対する人件費や設備利用費の占める割合が高い場合、Time to Marketの長期化は研究開発投資の増加、生産性の低下を意味する。ライフサイクルの短期化が著しい携帯電話やデジタルカメラなどの商品では、Time to Marketが長期化して「旬な売り時」を逃してしまい莫大な機会損失につながる危険性もある。この問題に対する汎用的な特効薬はないが、研究開発部門だけで取り組みを行わず、マーケティングや営業、製造、購買、パートナー企業など社内外の能力を組み合わせ、バリューチェーン全体での無駄の排除や的確な経営判断を行うことが、生産性改善につながる可能性は高い。
これら改善すべき課題点に対するアプローチとして、皆様の組織でも「A:研究開発を管理する仕組み」はすでに実行しているのではないだろうか。プロジェクトマネジメントの高度化や開発ポートフォリオの管理、ステージゲートによる案件の絞り込み、およびその実現に向けた人材教育などがそれにあたる。








