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Winter 2007
松本 崇志
(まつもと たかし)
プリンシパル
米系ソフトウェア企業にて、新規事業立ち上げに従事。またプリセールスコンサルタントとして製薬・化学・食品等業界向けにコンサルティングを実施。リアルコムでは主に電力・製薬等の大企業向けにコンサルティングを実施している。
エンタープライズサーチの効果的な活用とは
~ 企業内検索エンジン最前線 ~
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事業開発グループ プリンシパル
松本 崇志
◆カスタマイズコア×シンプル
この象限の代表的な製品としては、米IBM社のOmniFindがある。この象限の製品は大規模なSIプロジェクトにおいて構築される独自の検索システムにおいてカスタマイズのコアとなる。これによって、シンプルな検索方式からテキストマイニングなど高度な付加機能との統合を実現することが可能となる。
OmniFindはエンタープライズ製品の世界の巨人である米IBM社が提供するエンタープライズ検索製品である。OmniFindは広範囲なコンテンツを検索対象とすることが可能であり、大規模な検索システムとして運用することが可能な製品である。また柔軟にカスタマイズを行うことが可能であり、大規模SIプロジェクトなどにおけるカスタマイズコアとして活用することが可能である。元々の製品名が「WebSphere Information Integrator OmniFind Edition」であったことからも、同社のWebSphere Portal環境との高い親和性がうかがえる。
◆カスタマイズコア×個性的
この象限の代表的な製品としては、米Vivisimo社のVivisimo Velocity5(図6)がある。この象限の製品は独特な検索方式に特徴があり、また柔軟なカスタマイズが可能である。
米Vivisimo社のVivisimo Velocity5は2006年から日本市場に参入した製品である。最大の特徴は、検索結果に対して動的にクラスタリング処理を行い、自動的に分類軸を作成する点である。作成された分類軸はツリー構造で表示が可能であり、自分の関心がありそうな分類軸を選ぶことで検索結果の中から欲しい情報を絞り込むことが可能である。日本市場に参入してまだ日が浅い製品ではあるが、企業の研究開発分野を中心に、様々な用途で企業への導入が進んでいる。
アクセス権制御はエンタープライズサーチの肝の一つである。アクセス権の考慮は厳密に行わねばならないが、一般的にアクセス権の考慮を行うと、検索のパフォーマンスは悪化することが多い。

これらとは別の視点として、エンタープライズサーチ導入においては、アクセス権の制御とパフォーマンスとのバランスを考慮する必要がある。オープンなコンテンツだけを検索している時に実現できていたパフォーマンスがアクセス権の制御をやりだしたとたんに低下するというケースも多い。アクセス権の制御は重要であるが、パフォーマンスもユーザーの使い勝手を考えれば妥協して良いポイントでもない。このトレードオフをいかに解消するかは重要な検討事項である。検索のパフォーマンス以外にも、検索対象システム自体のパフォーマンスに及ぼす影響も考慮しなければならない。1件1件アクセス権の問い合わせを検索対象システムに対して行うエンタープライズサーチ製品の場合、検索対象システムへの負荷はばかにならないものとなってしまう。エンタープライズサーチベンダー各社もこれらの点について機能強化にしのぎを削っているのが現状である。
エンタープライズサーチ導入事例
こうしたポイントを踏まえて具体的にどのように導入するのか、製造業A社でのエンタープライズサーチ導入事例についてご紹介しよう。A社は従業員数3000名の製造業で、情報共有基盤として長年Lotus Notesを利用している。約2000程度あるNotesDBに膨大な情報資産が蓄積されているが、DBが多く情報を探し出すのが困難であるため、せっかくの情報資産を活用できているとはいいがたい状況であった。そこでA社ではGoogle検索アプライアンスとGoogle検索アプライアンス用のコネクタ製品「REALCOM GSA Extender for Notes」を導入し、エンタープライズサーチを実現した。
まず、エンタープライズサーチで実現する目的を明確にするために、GISツリーを作成した。目的(Goal)は、「新製品開発プロジェクトを成功させる」というものであり、その実現に向けての課題(Issue)としては、「過去の失敗事例を共有できていないため、同じ失敗を繰り返してしまう」、「他プロジェクトの情報に触れる機会がなく、同じ様な業務をやっている」があげられた。これらの課題を解決する策(Solution)として、エンタープライズサーチが位置づけられた。エンタープライズサーチによって、自分が欲しいと思ったテーマについて過去のプロジェクトや他のプロジェクトの情報も探し出せる様になり、結果として課題を解決し目的達成を目指すことになった。
次に、既存のNotes資産に対して棚卸コンサルティングを実施し、本当に検索対象とすべきNotesDBを絞り込んでいった。結果として当初約2000あったDBのうち、本当に検索対象とすべきDBは1200まで絞り込まれた。これは、係数系のDBやシステム系などのアプリケーションDBをまず除外し、その後利用頻度を計測したうえで更に絞り込んだ結果である。さらに、検索対象であるDBをテーマ毎に分類し、検索時にテーマ軸で絞り込んで検索できるようにした。そしてアクセス権の制御については、GSA Extender for Notesの機能を活用した。GSA Extender for NotesはACLキャッシュ機能を持ち、Notes側に負荷をかけることなくアクセス権の判定が可能である。また、クロール時にもNotesへの負荷を最小化する実装が行われている。Google検索アプライアンスとGSA Extender for Notesの組み合わせで、ユーザーは高速に、ACLを考慮した検索を行うことができた。
A社での具体的な効果の測定はこれからの課題であるが、ユーザーへのインタビューではこれまで目にすることができなかった過去プロジェクトの情報を見つけられるようになり、過去の類似問題の解決や失敗談からの学習によって現在の業務に好影響を及ぼしているとの発言が見受けられる。
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エンタープライズサーチは適切に利用することで、企業の経営課題解決の手段となるツールである。しかしながら、エンタープライズサーチといえど魔法の杖ではない。適切に利用するためには、エンタープライズサーチを利用することを前提とした情報作成のお作法やメタデータの付加、情報の棚卸などツール以外の部分でも考慮すべき点は多い。エンタープライズサーチの検討・導入において、本稿がその一助になれば幸いである。







