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在賀耕平

在賀 耕平
(ありが こうへい)

プリンシパルコンサルタント
慶應義塾大学商学部卒業。リアルコムにおいて情報共有、ナレッジマネジメントコンサルティングを大手商社、大手SIer、応用地質等の国内大手企業に対して手がける。共著に「SNSビジネスガイド」(インプレスジャパン)

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マッシュアップポータルはエンタープライズに何をもたらすのか
~ エンタープライズ2.0時代のポータル ~

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ビジネスコンサルタントグループ プリンシパルコンサルタント
在賀 耕平

(3)エンジニアリングポータル

 では次にエンジニアリングポータルの例を見てみよう。

 この製造業B社の設計部門では、製品・部品に関する公式情報は、専用のデータベースで管理されているのだが、その製品・部品に関する付帯情報、たとえば開発したのは誰と誰で、どのような不具合情報が発生しただとか、その仕様に至ったプロセスなどの情報は、いろいろなシステム上にバラバラに保存されているか、情報が存在しないかのどちらかであった。

 B社の情報システム部では、いまはバラバラになっている社内の各種情報を連携させて使っていく必要を感じていた。しかしながらシステムの統合には莫大な予算が必要になる。そこで今の資源を最大限に使いながら、予算枠の中でユーザーからの要求にこたえるために、マッシュアップポータルの導入に至った。

 マッシュアップポータルの中心的役割を果たすのは、製品・部品に関する情報を管理している専用データベース(BOM)である。BOMの情報を取得するウィジェットを用意し、ポータルの中心に据える。そしてBOMウィジェットの周りに、他のシステムからの情報を取得するウィジェットを配した。

 この中心にあるBOMウィジェットで、ある製品の情報を調べると、まわりにあるウィジェットは、「ある製品」に関係するLotusNotes上の情報を探してきたり、設計者のプロフィールを自動的に表示したりする。今まで別個に存在していた情報がマッシュアップポータルによって、集約されて表示されるようになったのだ。また、ポータル上で仕事が完結するようにTODO管理のウィジェットを外部のサービスからもってきたり、プロジェクト管理ツールの情報を同画面上に表示したりと、利便性の向上を図っている。

 B社では、マッシュアップポータルを始める前に、Notes上の情報を、BOMのカテゴリ体系にあわせ整理しなおすという、非常に手間のかかる作業を行った。また設計者が今まで、どのような仕事をしてきたのかを、人事データベースより取得し、公開可能なデータベース上に配置しなおした。

 マッシュアップポータルを使えるものにするには、既存情報の整理整頓、APIの準備等、多くのコストがかかるのだが、新システムを構築するのに比べるとはるかに安いコストでかつ短納期でやりたいことが実現することができるのだ。

図6:エンジニアリングポータルのイメージ図

3.エンタープライズにおけるマッシュアップポータルの意義

 事例を見ていただいたとおり、マッシュアップポータルは今までのポータルと比べて大きな可能性を秘めている。1つ目の違いは、今までのポータルが提供してきた機能は、複数の情報ソースからポートレットという形で情報を集約させ表示させることであった。それに比べてマッシュアップポータルは、動的なウィジェットを利用して、情報を取り出すだけではなく、そこから何らかのアクションを起こすことができるようになっている。見た情報に対して評価を行ったり、関連する情報を呼び出したりすることもできる。

 業務プロセスにあわせて社内外の情報を利用者視点で簡単に集約できるため、業務を利用者視点でサポートすることができる。もちろん今までのポータルでも出来てはいたのだが、より簡単に、より多くの情報、アプリケーションを使えるようになることは大きな進歩である。

 2つ目の大きな違いはプラットフォームフリーであることである。これまでのポータルは製品毎の規格がありそれに縛られていた。例えばマイクロソフトのSharePoint Server(SPS)には「ウェブパーツ」という規格があり、この規格に対応したものでなければSPSには表示できない。ある会社がSPSを使っていて、子会社が他社のポータルを使っているとすると、親会社の「ウェブパーツ」を子会社のポータルに表示はできない。連携させるためには全てのインフラをSPSで統一する必要があり、親子ならまだしもグループ会社や取引先とポータルの情報を共有しようとすると無理な話となってしまう。

 ところがマッシュアップポータルの基本的な考え方はプラットフォームフリーである。あくまでWebAPIを介してWebサービス上のアプリケーションを呼び出す仕組みになっており、ポータルは問わない。つまりWebAPIにだけ対応していれば、どのマッシュアップポータルでもGmailを読むことができるわけだ。

 このようにウィジェットという考え方がマッシュアップポータルをこれまでのポータルとは異なるものに仕立てあげているわけであるが、このウィジェットの規格自体の統一の動きもある。現在ウィジェットの規格は主にGoogle Widget、Yahoo Widget、Vista Widget、Mac Widgetと4種類あるが、W3CではWidgets1.0というウィジェットの規格統一の検討も行われている。

 またWidgets1.0を待たずにNetvibesではUniversal WidgetAPIなるものを展開しており、種類の異なるウィジェットを相互に利用できる仕組みを用意しつつある。

 そして3つ目の違いは、社内だけの情報だけではなく、社外の情報・アプリケーションも活用できてしまうというところにある。事例を見ていただいたとおり、自社の情報だけを見ていれば、仕事が完結してしまう時代は終わってしまった。社内外の情報を組み合わせて効率よく仕事をこなしていくことが求められているが、それを実現するのがまさしくマッシュアップポータルなのである。

 また企業内で利用するアプリケーションは情報システム部が用意し、提供したものだけに限られていた。しかしマッシュアップポータルの導入によって世界中のプログラマーが提供するウィジェットを仕事の中で使っていくことが出来る。(もちろんセキュリティの問題はクリアしなければならないが)

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 今までのポータルと比べると、マッシュアップポータルはできることも増え、自由度も格段に増えている。一旦マッシュアップポータルを使ってみたら、もう以前のポータルに戻ることは難しくなるだろう。是非、一度マッシュアップポータルを体験し、効果を実感した上で、業務を変革する新しい武器として活用を進めてほしい。