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在賀耕平

在賀 耕平
(ありが こうへい)

プリンシパルコンサルタント
慶應義塾大学商学部卒業。リアルコムにおいて情報共有、ナレッジマネジメントコンサルティングを大手商社、大手SIer、応用地質等の国内大手企業に対して手がける。共著に「SNSビジネスガイド」(インプレスジャパン)

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マッシュアップポータルはエンタープライズに何をもたらすのか
~ エンタープライズ2.0時代のポータル ~

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ビジネスコンサルタントグループ プリンシパルコンサルタント
在賀 耕平

2.エンタープライズにおけるマッシュアップの活用例

エンタープライズ向けマッシュアップポータル

 このマッシュアップポータルを企業内でも活用していこうという動きが出始めている。弊社リアルコムも導入した「Google Apps Premier Edition」ではマッシュアップポータルが用意されている。弊社社員は好き勝手にウィジェットを追加して、自分だけのポータルページを作っている。

 またエンタープライズポータルの領域でもマッシュアップポータルが次々と投入されている。例えば、リアルコムが提供するポータルソリューションKnowledgeMarketでもウィジェットを自由に追加できるポータルが用意されている。NotesやGoogleApps等のエンタープライズ向けのウィジェットを標準で実装することにより、導入してすぐにエンタープライズで活用できるようにしている。また複数の職種に合わせたポータルサイトをつくれる設計になっている。ただ単にマッシュアップポータルを企業内に持ち込むだけではなく、エンタープライズならではの活用シーンを見越して、設計したところがポイントである。

図4:KnowledgeMarketマッシュアップポータル

 さて、今後ますます、増えてくるであろうがエンタープライズにおけるマッシュアップポータル。しかしエンタープライズでマッシュアップを展開する際には、インターネット上のそれとは少しちがってくるのではないか。

 マッシュアップポータルのひとつの特徴は、ユーザーが自由に必要なウィジェットを組み合わせて独自のポータルサイトを作り上げることができるところにあるわけだが、企業内でも同じように「なんでもあるから好きにやってください」というスタイルではうまくいかないであろう。対象とする職種や役職ごとに、推奨するウィジェットの組み合わせを用意して、提供すべきである。そのうえでユーザーの選択肢をふやすべく、社内外のウィジェットを提供していけばよいだろう。インターネット上では好きな人だけがマッシュアップポータルを使えばいいのだが、エンタープライズにおいては、できるだけ多くの人に使ってもらう必要がある。そのために利用のガイドラインを示す必要があるのだ。

 抽象論だけでは、なかなかイメージがわかないため、具体的な活用シーンについて次章以降で見てみよう。

活用例

(1)新規事業ポータル

 まず、最初の事例はソフトウェア開発会社A社における新規事業開発のためのポータルである。

 A社では、新規事業開発が急務になっていた。様々な施策が実施されたが、そのうちのひとつが新規事業開発を効率的に行うためのポータルの作成であった。

 A社では新規事業の効率的な推進を行うにあたり、必要な情報は何だろうか?どのような情報があれば、効率的に仕事をすすめられるだろうかいう観点でポータルを設計していった。そのときにリストアップしたのが、下記の項目であった。

  • 外部ニュースソース
  • IT業界における識者のブログ
  • 競合他社の動向
  • 社内で今まで企画されていた新規事業の企画書
  • 社内のエキスパート情報
  • 社内に設置されているBlogやWikiに書かれた内容
  • 法務部が出しているインターネット・サービスを行う際の注意点をまとめたHP
  • 営業支援ツール内の顧客の声
  • ・・・

 新規事業を効率的に開発していくためには、社外の情報と社内の情報をミックスして使っていく必要がある。また、これらの情報を新規事業開発のフェーズ毎に表示させることが求められていた。新規事業を開発するにあたり、必要な情報というのは当然ながら各フェーズによって異なる。つまりフェーズごとにポータルを用意する必要があった。

(1)アイディアだしフェーズ

 社内のスタッフから自由に新規事業のアイディアを発表してもらう。何もないところからはアイディアはでないため、このフェーズでは他社の取り組みや、新技術の情報、ほかの人のアイディアなどがポータルに表示されている必要がある。また思いついたアイディアをすばやく社内のシステムに投稿できる窓も必要である。

(2)ディスカッションフェーズ

 フェーズで出てきたアイディアの中から、優れたアイディアを取り出し、そのアイディアが妥当かどうか、事業として成り立つかどうか、もっとほかのアイディアを組み合わせられないか、もっとシンプルにできないかなどを、ディスカッションするフェーズである。このフェーズで必要になる情報は、社内で今まで企画されていた新規事業の企画書や、社内のエキスパート情報、同じことをやっている競合がいないかなどである。

(3)企画フェーズ

 ディスカッションフェーズで生き残ったアイディアを実際に事業化するために、ビジネスプランを作成していく。このビジネスプランが役員会の承認を得れば、晴れて新規事業のスタートである。このフェーズでは、詳細なプランを練り上げなければならないため、社内のエキスパートに助けを求めることが必須となる。コラボレーションをしながら、企画書をまとめていく。また社外の各種情報ソースから市場規模を推し量ったり、3年後5年後の売り上げ規模を予測したりしていく必要がある。

 A社では、このフェーズ毎に必要な情報整理した3つのマッシュアップポータルを用意し、社内と社外の情報を連携させながら、新規事業の推進を行っている。

図5:新規事業ポータルのイメージ図