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吾妻徹

吾妻 徹
(あづま とおる)

外資系大手コンサルティングファームを経て、リアルコムでは製品マーケティングを手がける。AskMe社買収後の製品統合に携わり、現職に至る。

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米国先進企業のイノベーションを支えてきたAskMe Enterprise™ の全貌

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ビジネスデベロップメントユニット プロダクトマーケティング
吾妻 徹

2. 現場での課題解決業務にフィットするQ&A+ビジネスルール

 AskMeにおいて、主にコラボレーションの媒体となるのが、日本でもインターネット上で普及してきたQ&A機能である。AskMeでは、このQ&A機能を企業内で効果的に利用するためのさまざまな工夫が機能として盛り込まれている。

 まず、自動ルーティング機能があげられる。質問を投稿する際に、タイトルを入力すると、明示的に相手を選ばずとも、そのタイトルに関連した専門家やコミュニティをシステムが推薦し、質問を届けてくれるのである。つまり、該当トピックに関して自分の知らない専門家に問い合わせをして、ベストな情報を入手することが可能になる。

 また、機密度の高いトピックに対応するためのセキュリティ機能も欠かせない。自分と指定した回答者のみだけが閲覧できるようなやりとりももちろん可能だが、更に、実際に回答した人だけではなく、他のメンバーに対しても個別に権限を付与することで、関連情報を追記したり、フィードバックによりその回答の価値を評価したりできるようになる。

 さらに、ビジネスルール機能により、どのようなコンテンツに対して、どういう条件で、どういうアクションを自動実行するかというルールを設定することができる。例えば3日間誰からも回答されない質問は、コミュニティ管理者へ転送して対応してもらうとか、あるトピックに関する質問への回答は、最終的に上長の承認を得てから発行されるとか、ある組織のユーザーによるドキュメント投稿の際には、指定した2名の承認を得ないと投稿できないなど、情報共有を行う上で発生しうる様々な状況に合わせた柔軟なルールの設定が可能である。

 こういった専門家へのQ&Aシステムにありがちな懸念の1つに、特定の専門家に問い合わせが集中し、その人の通常業務が圧迫されてしまうのではないかというものがある。AskMeでは、質問の集中を防ぐために、ユーザーごとに質問の受付数に上限を設定することができる。上限に達したら他に最適な専門家へ質問を転送することができるのである。多くの導入実績でもまれてきたことで、こういった実際のビジネスシーンにおける運用まで考慮している点もAskMeの特長である。

3.手軽さでユーザーの利用・参加を促進するメール連携

 さまざまな情報が行き交うようになると、どのようなシステムであれ、情報洪水との格闘は避けられない。

 AskMeもその例外ではなく、その対策となりうる機能を実装している。例えば、情報の流通を支援する機能として、「(1)新着通知」と「(2)お気に入り」がある。(1)新着通知機能は、自分が所属しているコミュニティにコンテンツが投稿された場合、もしくは自分に対して質問がされた際に、メールでその内容を通知する。また、(2)お気に入り機能は、自分がウォッチしておきたい「コミュニティ」・「人」・「キーワード」を設定しておくことで、関連するコンテンツが投稿された場合、日次または週次でまとめてメールで通知するGoogleアラートのような機能である。

 AskMeでは通知だけでなく投稿の際にもメールを利用できる。ユーザーはWeb画面を使うことなく、質問の新規投稿や回答、FAQの投稿などを行うことができ、さらに、メールにファイルを添付するだけの簡単操作によるファイル投稿や、メールのサブジェクトに検索キーワードをいれて送るとほどなく検索結果がメールで返ってくるなどといった使い方もできる。

 こういった豊富なメール連携機能により、AskMeをあたかもバックグラウンドで動いている情報共有エンジンのように利用することも可能であり、その手軽さから多くのお客様で現場での展開・浸透に役立てられている。

4.情報共有の基本単位となるコミュニティ

 AskMeを構成する多くの機能の土台となっている重要な概念に「コミュニティ」という考え方がある。ここで、本稿におけるコミュニティという概念の定義をしておくと、「あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」1 である。 同じ目的を持った専門家集団であれば、より深い活発な議論が促進され、誰かの発言が、他のメンバーに気づきを与え、さらに思考が成熟していくという好循環が発生する。実際、Xerox、British Petroleum、Fordなど多くの先進企業で、コミュニティを実践し、効果を出している。

 AskMeでは「コミュニティ」が情報共有の単位となっている。企業内ではオープンな議論もさることながら、時にはクローズドな議論も必要となるため、所属メンバーしか議論の内容が分らない隠蔽されたコミュニティを作ることも可能である。

 ユーザーは複数のコミュニティに所属し、課題解決などのコラボレーションを行っていく。AskMeでは、このコミュニティという場をコミュニティ・チャンピオンと呼ばれる社員がファシリテートすることになっており、メンバー管理や各種設定などを管理画面から行い、コミュニティを活性化させる役割を担う。

 コミュニティの運営では、コミュニティをどのような範囲で設置するかが重要となる。我々が第一の組織と呼んでいる自分の所属組織・部門だけではなく、部門横断のタスクフォースやプロジェクトチームといった第二の組織、さらには同じ技能をもったメンバーのコミュニティや、同じ職務を行うユーザーのコミュニティなどの第三の組織なども含め、柔軟に検討することが重要だ。

 リアルコムのコンサルティンググループでは、今まで日本の多くの大企業に対するKnowledgeMarket EnterpriseSuiteの導入や情報共有活動施策のご提案で培ってきた実績とノウハウで、最適なコミュニティ設計を支援するサービスを行っている。

1)Wenger, Etienne, McDermott, Richard & Snyder, William M., "Cultivating Communities of Practice", Harvard Business School Press, Boston, 2002

5.専門家を的確に探し出すプロフィール機能

 調査会社であるGartner社によると、AskMeはExpertise Location(専門性の所在を明らかにするソリューション)と呼ばれる分野に分類されるソフトウェアである。そのプロフィール管理機能が専門性管理に適した特長をもつためだ。

 基本的な属性管理に加え、Q&Aなどのやり取りを通じてコンテンツがその技術トピックと共に人に紐づいてゆくことで、静的なプロフィール情報だけでは曖昧になりがちな社員の専門性がより鮮明になり、暗黙知の管理が洗練されたものになってゆく仕掛けが実装されている。

 属性管理はユーザーごとに持つプロフィールページで行う。(図2)役職、所属部署、所在地、内線番号等といった基本情報から、職務経歴、学歴、プロジェクト履歴、トレーニング履歴、資格情報、取得特許情報などの様々なプロフィール情報の掲載が可能となっている。プロフィール項目は容易に拡張を行うことができ、人事システムやディレクトリサービスと連携することが多い。各企業の文化・風土に則した設定が可能であり、自分の趣味・好きな料理・好きな映画や音楽の情報など、あえてプライベートな情報も載せることでその人の人となりを表現し、更に深い関係性の構築を支援している企業も見られる。

 導入の際には、社員の皆様がどのような情報を探しているかというニーズの洗い出しや、その実現に必要な属性項目の設計を、弊社のコンサルティングサービスでご支援させて頂いている。

 専門家を探す仕掛けはユーザーの投稿履歴と連動しており、静的な属性情報だけでなく、投稿したコンテンツの内容も索引対象となる。プロフィールページにおいて過去の投稿コンテンツを一括してみることで、ユーザーの専門性が浮き彫りになってくるのである。

 組織が持つナレッジの約9割を占めると言われる暗黙知を管理するためには、その人となりを理解する背景情報としてのプロフィール項目と、投稿履歴の管理が必要であり、この機能が検索やQ&Aなどを効果的なものにしているのである。

図2:プロフィールページ

まとめ

 ここまでのご説明で、P&G、Novartisを始めとする大手製造・製薬企業の研究開発部門で使われているAskMeが、グローバルに分散する社員を結び、問題解決を行うコラボレーション基盤となっていることをご理解頂けたと思う。

 既に国内外に多くの拠点を抱え、グローバルにビジネスを展開している日本の企業においても、AskMeが地理的に分散した社員のコラボレーションを助成・促進し、組織力を高めることで、激変する市場環境の中を生き延びていく為の一助になるのではと考えている。

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