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Autumn 2008 米国先進企業のイノベーションを支えてきたAskMe Enterprise™ の全貌
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ビジネスデベロップメントユニット プロダクトマーケティング
吾妻 徹
本章では、Fortune 500企業の研究開発部門における革新的なイノベーションを支えてきたRealcom® AskMe Enterprise™(以降、AskMe)の概要をご紹介したい。AskMeは米国での実績を携え、今秋より日本での提供を開始する予定である。日本での正式な製品発表に先駆け、いち早くその全貌をご理解いただきながら、イノベーションの誘発や継続的な取り組みの秘訣をご紹介する。
拠点分散が引き起こす才能のフラグメンテーション
P&G、Novartis、Pratt & Whitney。いずれもAskMeを活用することで革新的なイノベーションを生み出し続けている先進企業群である。これら企業に共通する特徴は何だろうか?強力な研究開発部門を持っているというだけではない。全世界または広大な米国国内に分散した非常に多くの拠点において、研究開発やビジネスを執り行っているということが、イノベーションを語る上で非常に大きな意味を持っている。
分散して開発拠点をもつ傾向は顕著な消費財や医薬品に限らない。多くの商品カテゴリにおいて、企業は各国に営業支店だけでなく、その国向けの研究開発部門を配置する傾向にある。生活習慣や価値観、国民性、法規制などの違いにより、市場特性は大きく変わってくるし、市場ニーズにあった、商品を適切なタイミングで投入するためには、市場に近いところで商品開発を行うという判断が直感的に正しく感じられるからだ。
しかし、一方で、グローバルに散在した知見を集約することも必然となっている。過度な競争により引き起こされる研究開発費の高騰が、投資対象にできる商品ラインや研究テーマの絞り込みを余儀なくしているからだ。多様なバックグラウンドを持ったグローバル混成チームが「才能のルツボ」となり、画期的なイノベーションにつながることもある。競合各社が同じような行動をとっている今、全地球規模での共同作業はもはや避けられない状況だ。
また近年は事業成長の促進や競争力強化を狙ったM&Aが多く行われており、その結果として意図せず分散オペレーションとなっている企業もある。組織の壁と地理的な隔離は投資家が口をそろえて求める「合併によるシナジー」の実現を困難にしている要素の1つである。
冒頭に列記した各企業においてもこのような背景は変わることはない。ただ問題の重大さに早く気づき、適切な対策を打ってきたかどうかが違うだけなのである。ここでは、AskMeを最大規模で展開し、イノベーション実績を生み出しているP&Gの取り組みをご紹介する。
P&Gのイノベーション基盤「InnovationNet」を支えるAskMe
AskMe最大のユーザーは、世界的に有名なイノベーション企業であり、世界最大の消費財メーカーであるプロクター&ギャンブル社(P&G)である。P&Gは、全世界28箇所に研究所を持ち、80ヶ国の拠点を中心に140ヶ国でビジネスを展開しているグローバル企業である。
P&Gでは、研究開発部門が地理的に分散しているだけでなく、製品別・事業部別に研究領域が分かれており、全世界にいる研究開発員の総力をレバレッジすることは困難であった。そこで、物理的な距離や、組織の壁を越えた人と人との繋がりを支援する仕組みを必要としていた。
既に『InnovationNet』と呼ばれる研究開発部門ポータルをもっていたが、肝心な人と人をつなぐという点において機能が不足していたし、メーリングリストによる研究員間での情報共有にも取り組んでいたものの、メーリングリストの存在を知らないといけないとか、メーリングリスト上で過去のやり取りされたのかが途中から参加した者には分らないなど情報蓄積や再利用性においても課題があった。
このような背景の中で巡り合ったのがAskMeであった。
現在P&Gでは、先行していた研究開発部門のみならず、人事、マーケティング、IT部門などに順次展開し、全世界25,000名でAskMeを利用しており、業務遂行上なくてはならないシステムになっている。その結果、AskMe上で誰がどの分野の専門家なのかを把握するための25,000名のプロフィール情報が管理され、全世界のP&G社員のナレッジをいつでも引き出せる状態が整えられている。また、分野ごとに20ほどのコミュニティと呼ばれるテーマ別小集団をAskMe上で構築しており、その中で所属メンバーが密度の濃い情報の発信・共有を重ね、世界中で議論されている内容の中から自分に関連する情報が、随時メールで配信されてくる仕組みになっている。
一般的にROIが出しにくいと言われる情報系の仕組みでありながら、P&Gにおける取り組みは、初期パイロット導入段階から常にその有効性を実証し続けている。AskMe導入後のユーザーインタビューにおいても、多くのユーザーが、自分の知っている範囲外の専門家との結びつきが生まれたと語っている。現在では、毎月600近い問題の解決がAskMe上で行われており、問題解決の時間短縮やダブルワークの削減などの効果により年間100人分の工数削減につながっている。つまり、コスト削減の面だけを見ても、AskMeを活用することで人件費に換算して約10億円近いコスト削減に寄与しているのである。
多くの先進企業で鍛え抜かれたAskMeの特徴的な5つの機能
ここでは、P&Gをはじめとする先進企業での成功事例をシステム面で支えているAskMeの特徴的な5つの機能をご紹介する。
1.ナレッジベースとエンタープライズサーチ
多くの企業にとって、ナレッジ活動推進の第一歩は、すでに存在しているコンテンツ資産を活用するための取り組みであり、検索はその代表例である。クイックヒットに適したわかりやすいアプローチといえる。
各社の研究開発部門でお使いいただいているAskMeにも、もちろん検索機能が内包されている。近年マイクロソフト社に買収されたことで話題となったFast Search & Transfer社の高機能・高性能なエンタープライズサーチ機能を搭載している。
AskMe内部に蓄積されたFAQなどのコンテンツはもちろんのこと、オプションで用意されている各種コネクタにより、検索対象範囲をファイルサーバー、Microsoft ExchangeやSharePoint、Lotus Notes/Dominoといった外部レポジトリに広げることもできる。
システムを利用するユーザーから見れば、探している情報がどの器に入っているかを意識することなく、AskMeの検索画面で一元的に統合検索を行えるようになるメリットは大きい。これにより、個別システムごとにそれぞれ検索する手間や、情報の探し漏れといった機会損失を防ぐことができる。
実務上使いやすいとユーザーに好評なのが、AskMeの検索結果画面のトップ5表示だ。(図1)これは4つのブロック:(1)課題解決Q&A、(2)ドキュメント、(3)コミュニティ、(4)専門家ごとに、検索条件に相応しいトップ5を表示する機能である。
検索結果にコンテンツだけでなく関連するコミュニティや専門家の結果が表示される点がAskMeの特長であり、探している情報が見つからなかった場合でも、質問する相手として適した専門家やコミュニティを表示し、コミュニケーションを誘発させることで課題解決を支援することができる。
このような機能がない場合、検索結果を見て見つからなかったことに落胆してあきらめるか、自分が直接知っている手近な範囲での課題解決に行き着いてしまう傾向がある。さらに一歩踏み込んでこの問題に対処することができれば、直接知り得なかった「専門家」との出会いを増やし、各自がコラボレーションの範囲を拡大することで、中長期的に見れば組織全体としての問題解決能力向上に寄与することとなる。
各トップ5以外の検索結果も、続く詳細画面で閲覧することが可能である。検索結果を絞り込んでシンプルな表示にするといった工夫の積み重ねが、一般ユーザー向け画面の直感的な使いやすさにつながっている。

管理者向けの機能も充実している。システム管理業務に精通していない情報管理者の方を想定し、主な管理タスクは難解なコマンドではなく管理画面から行えるようになっている。
例えば、検索履歴レポート機能では、年・月・日・時間の単位でドリルダウンが可能であり、その時々の頻繁に検索された旬なキーワードや、0件ヒットとなって失敗したキーワードのトップリストなどを表示することができる。組織で必要とされていた情報ニーズを見える化することができるのである。
また、意図的な検索結果のチューニングも可能だ。例えば、特定のコンテンツをあるキーワードの検索結果のトップ10以内に必ず表示するとか、逆に検索結果から外すとか、あるコンテンツよりは上位に表示させるなど細かいルール設定による調整が可能である。この機能により、検索機能をポータルのように見立て、情報の伝播・浸透やユーザーの行動をある程度制御することができる。
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